介護ろし・・・・かいごろし

とても胸の痛むお話を聴きました。


でもそれは、ごく普通のありふれた風景として
何気ない一日の風景として
デイサービスの風景として
誰の目にも映っていることでした。

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最近フレンドシップクラブの利用を始められた方から思いがけない言葉が出てきました。
・・・かみさんが笑っているよ。こんなことはこのところ無かったんで嬉しいなあ・・やっぱり笑っている顔はいいなあ・・・



妻が今通っているデイサービスはねえ、働く人の言葉が丁寧で、若い者がよくやってるな、と思っていたんだよ、礼儀正しくてね。
迎えに来ても優しい言葉をかけてくれるし、連絡帳にも、一日明るく過ごされました、なんて書いてあるから安心していたんだよ。


でもさ、妻は行くのをいやがっているんだよ。なかなか靴を履かなかったり、トイレから出てこなかったり妙な事するんで叱っていた訳、

それが結構続いたから、不思議に思ってデイサービスへ自分で見に行ってみたの。それでわかった、行きたくない訳が。


妻は働き者でね、何でも気さくにやりたがるんだよ、
デイサービスでもね、皆さんにお茶を出したがって、朝行くと
来た人にお茶を出したくてうろうろ探すんだ、するとね優しい言葉で

こちらにおかけください、なんて言われて椅子に連れて行かれちゃうんだよ。そこでまずしょんぼりさ。

それから若い人にお茶を出してもらって飲んで、茶碗を洗おうとして
立ち上がると、また優しい声で言うんだなあ、・・お座りくださいね、こちらで洗いますから・・。


立ち上がるたびにそっと側に来て椅子を押してくれてしっかりと、座り直されてしまうんだ。それからね、今日は何日で何の記念日で、とかその日の担当者か責任者が長々と話するんだな、みんなあんまりきいていやしないんだ。居眠りしているのもいるからね。かみさんも訳のわからない話を一生懸命聞いているけど、認知症だから、あんまり覚えてはいなくて、下を向いて目をしばしばさせているんだよ、あきらかに退屈だって顔でね。


それから少し体操が始まって、ちょこっと体を動かすんだな、
それも、テレビ体操の録画だぜ、ラジオ体操じゃないんで、わからないことが多い。みんなについて行けなくてぼーっとしてる。


すると若い人が来て、妻の腕を持ち上げているんだ、何だ!って思ったよ。やりたくないんだろ、無理にさせるなあ!。


そんなこんなでお昼になった。
手洗いのところが行列になり妻は並ぶのも忘れて
手を洗わないでご飯を食べた。
綺麗な取り合わせで、これはうまそうだった。
ゆっくり噛む癖の妻は小一時間ぐらいかかる。


そうすると、そろそろ一時です、午後の課題を始めましょうと言う声がかかって食事は中断した。
妻のご飯は運ばれていってしまった。半分ぐらいはのこっていたのに・・・。


午後の課題は、妻の場合生け花。
先生が来て教えてくれる。ボランティアだそうだ。
今日は菊と箒草がいけられている。


見ていると、家に持って帰ってくるのとは違って
同じ色の花ばかり生けてる。
すると先生が来て、ちゃちゃっと治してすてきにしてくれる。
・・・だが味がない。切ったり貼ったりしているうちに作ったものを忘れて人のものに手を出そうとしたら、また優しい言葉で職員の人がこちらが○○さんのですよ。と言ってせっかくさした花を抜いてしまった


そうこうしてるうちに、おやつだかなにか食べるんだ。
やっと、かみさんもホッとした顔になった。
隣に座ってるお年寄りが言ったよ、「奥さん、もうすぐ帰れるからね」ってさ。


一日見てたけど、これじゃかいごろしだな、って思ってさあ。
俺の言ってる事、わかってくれる?
介護保険って言うから、かみさんにいいようにしてくれてると思ってたんだ、
保険使って、かみさんの元気がなくなるなんて、使わない方がましだよなあ。

(このお話のコメントは、皆様にお願いします。)