節分も過ぎて

二月

昨夜、めざしを柊にさして家の玄関に飾ったら不意に、
祖父のことを、思い出した。

祖父は1899年生まれ
生きていれば112歳と言うところだが
45年ほど前に他界した。

晩年、認知症を患い座敷牢の中で暮らしていた。
奇妙な行動に家族は疲れ、追いかけ回すことも難しくなり
おそらく、やむなくそうしたのでしょうが、
祖母が、毎回の食事を小さな格子戸の間から
そっと差し入れていた姿を思い出す。

その祖父がまだ元気だった頃、
節分には家、屋敷にとどろき渡るような大声で
「福は内〜 鬼も内〜 厄は外〜・・」と、大きな手で
家中に撒いて歩いていた。
大きすぎるその声と手は、悪い事をするものには
すぐにでも立ち去らないと酷い目に遭わせそうな気がしたものだった。


あの尊厳あふれる祖父が一体どうして
座敷牢にいるのかと、子供心にも思ったが
祖母に聞くこともなんだか
聞いてはいけないことのような気がして
ついそのままになってしまった。

今ならよくわかる・・・・

振り返ってみれば祖父のことから、
次は母の畑症候群とも言うべき認知症
(黙って出て行く先がいつでも畑、ちょっと目を離すと畑で仕事、草を抜いたり植えたり・・天候が雨でも雪も・・・)
それから、姑さんのもの集め症候が始まった頃の認知症
(近所から何でも持って帰る日々に、毎日お返しに行っては謝ってあるいた日々・・・)
に育てられてきた、と思う。

今、こうしてDFCに関わることをさせていただいているが
そうした当時からのつながりがあって
自然に収まる位置に自分はいるのだなあと思う。

改めて今年も、認知症と共に生きる人々と、
人と人のつながりを大切にして「お互い様」と言い合える
まちづくりをやっていきたいと
「福は内〜鬼も内〜厄はそと〜」と一人豆まきをした。