家に帰りたい

18日のひだまり荘でのことです。

雨が降っていて、今日はもうどなたもみえないかも・・と思って
お茶の用意を片付け始めた頃です。

親子のようにみえる女性二人が入ってこられました。

82歳の方と50代のお嫁さんとのこと。
近くの方にここのことを聞いたので・・、と言いながら
一緒にみえた義母の方を気遣っていました。

3時を過ぎた頃から、家に帰ると言いだし、
外に出たがって止まらなく、なだめても話を聞いてくれないし
止めると、怒り出してしまった。
仕方がないので一緒に行きますから、と出てきたら
途中で会った近所の人が、
ここ(ひだまり荘)に行ってみれば・・と奨めてくれたので
来ました。

家と言っても、今すんでいるところは義母の家だし
どこの家に行くって言う当てもないと思うんです。

このところ時々、
・・ではかえりますから・・みたいなことを言うので
夫と、どこへ行くつもりなんだろうと言っていたんですが
最近ずっとおかしかったんですけど、
これって徘徊なんでしょうか?

その間、ご本人は姿勢良く座ってお茶を飲んでいましたが
その姿は礼儀正しいおばあちゃん、と言う雰囲気のする
穏やかそうな印象でした。

私は、聞いてみることにしました
(ここからはICレコーダーを起こしたものです)

  M:松 C:ご本人 T:Fa

M 雨の中、よくいらっしゃいました。
C お世話になります。今晩よろしくお願いします。
M はい、こちらこそ、至りませんがよろしくお願いします。
C ここはいいところですね、お風呂もはいれるんですか?
M お風呂はないんですが、お風呂に入りたいですか?
C お風呂がないんですか、・・・それは困った・・

M お風呂に入りたいんですね、それはどうしてですか?
C 明日、お嫁に行くんです。それでお風呂に入って綺麗にしておかな
 いと、恥ずかしいです。
 
M あら、お嫁に行かれるんですね、おめでとうございます。
C ありがとうございます。この年まで嫁かずだったので、父親が
  心配して、いろいろと気をもんでくれて今回決まってよかったで
  す。
M お相手の方は、いい方なんでしょうね。
C ・・・父親が心配してくれて・・・
M お父様がご心配されているんですね?
C はい、いろいろと・・。
M いろいろ心配なことがあるんですね?
C はい、そうなんです・・・だから行かないと
  心配しているので・・
M どちらに嫁がれるのですか?
C ・・千葉の・・・ハラマチダ・・・です。
M 千葉ですか、いいところですね、電車に乗って行くんですね。

C 電車に乗りません。私は電車に乗りません・・。
  ハラマチダです、すぐそこだから。
 電車に乗りません・・・電車に乗りません・・・
M ハラマチダですか、私もハラマチダなら知っていますよ。
  近くて買い物とか、便利なところですよね。

C そうですか、ハラマチダは近いですか。
  よかった。ハラマチダなんです、近いですか・・

M Cさんは、ハラマチダに帰りたいのですか
C はい、ハラマチダに行くんです。
M 近くてよかったですね。

M この方も、ハラマチダの方です。
  一緒に帰りますか?(お嫁さんを紹介しました)

C あら、知っています。この方は近所の方です。
  いつも親切にしてくれます・・・知り合いです。

M それはよかった、一緒に帰っていただけますか?
T はい、かまいませんよ、一緒に帰りましょう。

C ご親切にありがとうございます、よろしくお願いします。
 連れて行ってください。

M 明日、安心してお嫁さんに行けますね。
C はい、ありがとうございます。ほっとしました。

・・・ゆっくりと階段を下りて帰って行かれました。
お嫁さんにしっかりと手を引いてもらっている姿が、
印象に残りました。

夜に電話があり、念願のお風呂に入って眠りについたとのこと。
どんな夢をみているのでしょうか。

帰りたい家に帰れて本当によかったですね、Cさん。

Cさんありがとうございました。
私も「その人の世界で話をする」練習をさせていただきました。
また、来てくださいね。