目的を忘れ路上に さまよえる 
         
         我をどこより取り戻すべき


この短歌を作られた方は、物忘れが始まってから、歌作りを始められ

た方です。状態としては、家の鍵をおいたところを忘れ、

家に入れず、玄関の前で鞄をひっくり返して探したり、

宅急便の受け取りサインがかけなくて、

カタカナで名前をやっと書いては疲れ切ってしまったりと

躓くことが多くスムーズには一日が終わらないのですが、

そういう自分をしっかりと、見つめています。


この歌は、バスの乗り場を間違えて、

家とは反対の方に乗っていってしまったときに

見知らぬバス停で降りたとき感じたことを読んだそうです。


物忘れが始まったら、何もわからなくなる・・・、

と思われているこの病気ですが、

忘れるという事をしっかりとわかっているからこそ

一瞬一瞬を生きているのではないでしょうか


生きる、と言う事においてはむしろ

本当に生きているのかどうか自分の方を

振り返って見てみなくては・・・。